有形の原因的無形要素とは、有形のものを形成する際にその起因となる無形の要素です。言い換えると、質量を得る前の段階の、その原因となる微細な要素とでもいいましょうか。
たとえば、原子は原子核と電子で構成されますが、その原子核が形成されるのは、物理学の説く自然界の4つの力(素粒子の間に働く基本的な相互作用)のひとつである核力(原子核内の各核子同士を結合する力)によるものです。この力は、原子核を構成する陽子と中性子を結びつけますが、陽子はさらにクォークから形成されます。
これを突き詰めてゆくと、最後は物質ではなくエネルギーそのものになりますが、そもそも「体(ミ=有形の原因的無形要素)」があるところに、クォーク等が集まり、それが陽子や原子へと、その塊が大きくなっていくのだと古神道では考えます。
つまり物があるのは、その物を構成する様々な要素を引き付ける原因となる無形のエネルギーがあるということです。
天之御柱の周囲をまわり言葉を掛け合う古事記のシーンですが、右回りの伊邪那美命が先に声をかけると、国生みはうまくゆきません。そこで左回りの伊邪那岐命が先に声をかけます。声とは「こと」に通じ、働きの発現を意味します。
つまり伊邪那岐命が先に働いて、しかる後に伊邪那美命が働くことで国や神が生まれてゆきます。
これは「気(キ=無形のエネルギー)」から「体(ミ=有形の原因的無形要素)」への流れを比喩しています。
上記のアインシュタインの方程式でいうと、左辺から読んだ際のビッグバンの原理いわば創造の方程式に相当します。
簡単な説明になりますが、伊邪那岐命と伊邪那美命は、ムスビのふたつの働きを意味し、古事記では天之御柱の段でその創造と破壊の原理を説明しています。
つまりムスビには、無形から有形へ(エネルギーから物質へ)のムスビと、有形から無形へ(物質からエネルギーへ)のムスビの二種類があるということです。