ところでこの賢所には、なぜか二座祀られています。一ノ御座(みくら)は賢所の内々陣の中央に、二ノ御座はその向って右側に鎮座しています。いずれの唐櫃(からひつ)に八咫鏡が納められているのでしょうか?そして他の唐櫃には何が納められているのでしょうか?
この形式は室町時代からと言われていますが、理由は一般に知られていません。私は伊勢の内宮の式年遷宮に合わせて、同様の順で遷座されていると推測しています。つまり遷座による大いなる祓いが行われているのでしょう。
このふたつの唐櫃は共に縦横90cm、重さ200kg。皇宮警察はイザという時の為に避難訓練をしていますが、その優先順位は八咫鏡が最優先で、次に他の神器、今上陛下の順とされています。つまり生身の陛下よりも三種の神器が優先されているというのです。(蛇足ですが、唐櫃は一つにつき6人掛りで運ばれます)
これまで内宮、宮中共に火災などにより、鏡は何度か焼失の憂き目にあっているので、残念ながら、当初の神鏡は共に失われています。
神武天皇が奉斎していた八咫鏡は、邇邇芸命から伝わったものですが、これは天孫降臨後に無から有形化したものと思われます。常識的にはありえないような気がしますが、私自身が知る事例もあるので、まずは疑いないものと思います。
しかし焼失後に新たに祀られたものは、人間の用意したものであり、直接神界から授かったものとは考えにくいです。ですが神威によって天照大御神の一霊四魂が鎮まったので、八咫鏡としての役割を持つ神鏡になったのでしょう。
建内宿禰のような古神道における審神者がいれば、その鎮魂力と神威によって御神霊を鎮めることは可能ですが、そのような記録はありません。