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大和心

第114回 大嘗祭の秘儀とは?-1

著者:小山一夫 / 公開日:2022-08-01

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

令和元年10月の即位礼正殿の儀、饗宴の儀、内閣総理大臣夫妻主催晩餐会を経て、11月14日と15日に「大嘗宮の儀」つまり「大嘗祭」が行われました。これは名実ともに天皇となる国家の最重要祭祀です。しかしその内容は、古代から「秘事」とされてきました。

大嘗祭とは、天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭をいいます。この大嘗祭の詳細は全く不明ですが、新嘗祭が天皇みずから五穀の新穀を天神地祇(天津神と国津神)に供し、告文を奏して神と共に直会を行うことで、その年の収穫に感謝する祭祀であることから、それと同様の性質を含んだ儀式だと推測できます。

しかしながら、宮中三殿の近くにある神嘉殿にて執り行われる新嘗祭に対し、大嘗祭はその都度「大嘗宮」を造り、悠紀(ゆき)・主基(すき)のふたつの斎場で非公開の祭祀が行われるため、古くからその内容について様々な憶測が語られてきました。

新嘗祭と大嘗祭の祭祀で最も異なるのは、大嘗祭では悠紀殿・主基殿の両方に二つの神座が置かれ、部屋の中央の神座は八重畳の上に坂枕と覆衾(おぶすま)をかけた寝座が置かれている点です。

近年、大嘗祭の祭祀について深く研究したのは民俗学者の折口信夫。彼は大嘗祭をニニギノミコトの天孫降臨と関連付けました。確かに複数の共通点がありますが、彼の説がきっかけとなって、とても信じられないような奇説が噴出することになったのは残念なことです。

たとえば「先帝同衾説」(折口説・前天皇の亡骸と新天皇が寝座に横たわる)とか、「聖婚説」(「采女(うねめ)」という女官との性行為)など。このような妄想ともいえる奇説が出始めたため、宮内庁は平成の大嘗祭直前に「天皇が神格を得る秘儀というものはない」「天皇は寝床に触れることすらない」と記者会見で否定したほどです。