剣術の2大ルーツといわれる天真正伝神道流 (15世紀) と陰流 (16世紀) には共に神伝伝説があります。前者は飯篠長威斎が鹿島香取の神々から奥義伝授を受けたとされ、後者は愛洲移香斎が鵜戸神宮の神から奥義書を授かったとされています。両者に共通して言えるのは、神社での参篭です。
また、かの有名な塚原卜伝も鹿島神宮で「一の太刀」の妙理を悟り、伊藤一刀齊は鶴岡八幡宮で払捨刀の奥義を得、樋口又七郎は摩利支天堂で心剣の法を感得、さらに居合の神明夢想流の開祖林崎甚助も郷里の産土神に祈って剣に開眼したというように、武道の開祖や名人達人たちには神秘体験の伝説が数多く伝えられています。そこで、その体験談や伝説を整理してみると次のようになります。
①参篭などの時に深夜、天狗などの神仏の化身等から奥義を授かる。
②参篭中、夢の中で秘剣や奥義の伝授を受ける。
③過酷な参篭修行などの直後に無意識での動きを体得する。
④深山幽谷などで神仏に祈って奥義を感得する。
⑤極限状態の修業の後に強烈な光や音の体験をする。