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大和心

第175回 伊勢神宮の式年遷宮-3

著者:小山一夫 / 公開日:2022-12-07

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

話が横道にそれるので、遁甲についてはあまり触れませんが、中国の暦法の基本である60干支と、遁甲の造作法に類する考え方が、ここで大きな意味を持つことだけは押さえておく必要があります。

60干支は、十干十二支を組み合わせたものです。

十干とは、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類。

十二支とは、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種類。

干支は古代から、時刻や方位、角度を表す際に用いられてきました。従って「60干支」とは、時間と空間の全てを意味するわけです。

この「時間と空間の全て」を対象として、左右左の祓いを行うという考え方から、60を3で割って20、つまり20年を一つの区切りとして、左右左と祓うことが、式年遷宮の20年という期間の根拠になったのではないかと考えます。

神道において、修祓(しゅぱつ)は基本中の基本です。大麻(おおぬさ)を左・右・左と振ることで、罪穢れを祓う神事のことですが、この大麻と左・右・左に深い意味があります。

大麻とは榊の枝に麻と紙垂を付けたものですが、そのままでは祓いを行うことは出来ません。

降神之儀によって祓戸大神の御降臨を願い、その神籬となった大麻を用います。つまり神の宿った大麻を祓いの対象に向けて左・右・左と振るわけです。

さて伊勢神宮ですが、外宮内宮共に正宮の社の隣には空き地があります。20年ごとにその正宮の社を建て替えるわけですが、隣接する空き地に新しく社を建て、完成後に御神体を御遷座致します。

私はそれが大麻を祓いの対象に向け左右左と振る神事に類似していると思うのです。

修祓では神の宿った大麻を使いますが、御遷宮ではそれが御神体に相当するわけです。

神社のお祭りでよく御神輿を振る情景を見かけますが、これは振魂の原理によるものです。

御神体を振り動かすことで、神の働きを高めるという思想です。

伊勢神宮の御遷宮でいえば、20年に一度御神体を遷座させることが振魂となり、御祭神の御力を高めることになります。

結論を云えば、式年遷宮とは、祓いと振魂の原理に基づき、すべての時空間を祓い、より強い御神力を願う神事だといっていいでしょう。