神道と日本の記事一覧

大和心

第199回 無常

著者:小山一夫 / 公開日:2023-02-01

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、

久しくとどまりたるためしなし。

世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、

高き、卑しき、人のすまひは、世々経て尽きせぬものなれど、

これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。

あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。

住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、

いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。

知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。

また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、

何によりてか目を喜ばしむる。

その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、

いはば朝顔の露に異ならず。

あるいは露落ちて花残れり。

残るといへども朝日に枯れぬ。

あるいは花しぼみて露なほ消えず。

消えずといへども夕べを待つことなし。」

『方丈記』鴨長明

天変地異と、飢饉による無数の餓死者。

大自然の猛威に対して無力な人間の儚さ。

彼の生きた時代がどのような時代だったか。

それを知ってから方丈記を読むと、彼の心情が伝わってきます。