続きてす
例えば現在でも、天皇陛下は葬儀に参列されません。今回のエリザベス女王の葬儀参列については、極めて例外的な御判断でした。過去に遡っても、1993年ベルギー国王の国葬に当時天皇、皇后両陛下だった上皇陛下ご夫妻が参列したケースが唯一だったからです。
大正時代になるまでは、たとえ天皇の父母であっても天皇自ら葬儀に出る慣例はありませんでした。平安時代以降に強くなった死穢(しえ)忌避思想に起因します。つまり死は穢れそのものだという考え方です。従って天皇が死去した瞬間に、皇太子や皇后、そして皇族や側近達に至るまで下殿するのが通例でした。つまり御遺体から離れなければならなかったわけです。
明治時代はどうだったかというと、1897年の孝明天皇の御妃・英照皇太后の大喪(国葬)時、国際慣行等を考慮して当初は天皇皇后両陛下が出席するということになっていましたが、当日になって病気を理由に両陛下は欠席されました。その位、宮中にも伝統的な穢れ思想が強く伝承されていたわけです。
話を戻しますが、聖徳太子以降、天皇皇后両陛下、そして皇族方の仏教信仰が当たり前のようになった事で、伊勢神宮の定めとの乖離が広がりました。他の神社はともかく、伊勢だけは特別だとされていたため、潔斎の基準を満たして御親拝することが難しかったのだと思います。
それが明治元年の神仏判然令により、皇室から仏教色が排除されることで、明治天皇の伊勢神宮御親拝が可能になったのでしょう。