明治35年の御製です。
古の 人のまことを 知るたびに
ふみはしたしく なりまさりけり
明治神宮の「365日の大御心」では、次のような口語訳になります。
「古い書物を読んで、その当時の人のまごころを知るたびに、書物がますます身近な親しいものになり、まさってくることだ。」
和歌としての解釈はその通りだと思います。
ただ御製となると、少し違うと思うのです。
なぜなら普通の人なら「心」を読むわけですが、明治天皇の場合は「大御心」だからです。
つまり私人としての歌人ではないのです。
明治35年は、政府(文部省)に国語調査委員会が設置された年です。
この委員会は、漢字廃止(音標文字化)を前提として設立されたものでした。
森有礼文部大臣の言うように日本語を廃止したり、国語調査委員会の結論が漢字廃止であったら、日本はどうなるか、それは過去の文献を読める人がほとんどいなくなるという事です。
万世一系の皇統を戴くわが国の伝統、文化、歴史を捨て去ることに繋がります。
明治天皇は「諸事 神武創業之始ニ原キ」の精神を勅令され、その大方針に則った国づくりをお望みになっていたのに、なぜこのような事態になってしまったのか、お悩みになられたのではないでしょうか。
その年に詠まれたこの御製には、そのような大御心が込められていると思います。
私は、単なる和歌と御製を同じように解釈していいとは思いません。