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大和心

第716回 本田霊学の継承 戦後編-1(2/2)

著者:小山一夫 / 公開日:2025-01-24

掲載準備版・未公開。公開日は元ブログの投稿日です。

其の頃縁故者である望月老人より、長沢雄楯翁が偉大なる霊学の泰斗であり霊術も指導されて居るので、一度出向いて見ては如何との話が有った。然し当時の状態では鎮魂法、帰神術の本能なるものは何たるやは全く無知であつた。現今、その時代を懐古するに、その頃は主として霊眼とか霊覚等の発揮研究に邁進して居つたので、神霊の憑依とか憑霊の諸現象は見られなかつた様に思はれたが、やはり或る種の憑依によって種々現出されて来たものであると思へる。其の後、各種の霊能発揮に力をそそいで来たものの、何か書籍を以つての独習の為に、完全且つ充分な研修を得られなかったのは当然の事であつた。

昭和七年五月偶然の機会から、長沢翁高弟で審神者の術では他の追従を許さぬと云はれた。白髭神社に奉仕の稲葉大美津先生に或る日会見する事が出来得た。其の際は別に入門する気持ちで出向いた訳ではなく、種々談話を伺う心算で会見したのでは有つたが、さてその鎮魂法並び帰神術に就ての、本田翁の高遠幽玄なる学説、長沢翁の博識なる霊学の学説等を拝聴するに及び、此れまで自分の学んできた過程方法等は、如何に視野の狭きものであり、なお低級な霊への接触であって、偉大なる神界の大霊への交流に有りざる事を利然と悟り、即時入門を願ったものである。

ここに於て稲葉翁に就て鎮魂法、帰神術の学説や実習の為指導を願って居った。或る一日、翁より「君の帰神術は今まで指導して来た中で特に目立って居る故に、長沢翁に話をして置いて有るから、翁の処にも出入りする様に」と申渡された。かくして其の後翁と同道の上、月見里神社の社務所に長沢翁を訪問し入門帖に記名したのである。長沢翁に入門するのには簡単に入門出来難いと聞いたのは其の後の事であつたが、是は稲葉先生の口添に、自分の修業過程の話が前以って有った為に、意外に易く入門出来得た事も、それも後で伺ひ知った訳である。かくして長沢、稲葉両翁に就き其の後引続き、霊学上の学説と神術等を共々御教導を受けて来た。

稲葉翁は長沢翁に先立つ事。二年前、昭和十三年三月十日、清水市入江町白髪神社々務所にて、御死去(享年六十二歳)なされたので、以後は長沢翁に就て専心学んで来た。」(「佐藤卿彦先生遺稿遺影集」)