このような我が皇国[=日本]の島々だけではない、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸、つまり、たった今見てきたように国魂の神徳をこうむられる[程度は]それぞれに異なるが故に、中国は中国の言語、朝鮮は朝鮮の言語、インドはインドの黒坊主[=黒い肌の僧]の言語、アフリカはアフリカの言語、西洋各国は西洋各国の言語、また、その中にイギリス、フランス、ゲルマン[※ここではドイツ]その他数えきれないほどの国々、ことごとく、その[=それぞれの]傾向があって、いまここに枚挙にいとまがないほどである。そして、我が皇国[=日本]の外[の土地の人々]はその[土地に]国魂、産土神がおられることを知らない。その論説、その教説はことごとくそれぞれに妄作し出した有名無実の仏や菩薩、あるいは、天主[※キリスト教における神]などの偽の神を唱道し、これを崇敬し、祭祀し、目の前の産土神の神徳を夢にも知らず騒いでいるのは、[それを]一瞬見ると、頬が少しゆがんでしまうようになってしまう[=苦笑いを浮かべてしまう]けれども、つらつら彼らの衷情[=真心]に寄り添って[考えて]みると、憐れむべきものである。この皇国[=日本]から見ると、実に下等な社会のもっとも甚だしいものであって、禽獣[=鳥獣]よりも少し上と言うべきものであるが故に、古の正しい神の道が伝わっていない。しかしながら、彼[ら]も[また、我々と同じ]人類であるが故に、日々、己の心を砕いて力を尽くして[いるし、だからこそ]、現在のように[自国のことを]文明開化国であるなどと[言って]誇っている者たちもいるのである。これらの[外国の]輩に我が国の国魂の説、また、村や里の産土神の説などを言い聞かせたら、間違いなく愕然として驚いてしまうであろう。