本田親徳翁の「鎮魂法と帰神術」について考察したいと思います。

************************
『第五節 鎮魂中に見ゆる諸現象
最初は雑念が、ひっ切りなしに後から後からと溢き出てきて、いつの間にか此の雑念に捕はれて、鎮魂を行っている事をすっかり忘れてしまい、ハツーと気が付く様な状態となる事が誰でもあろうと思う。最初は、この雑念を払い落すことに一苦労するものであるが、次第に境地が進歩してくると、自然に此の状態にとらわれない様になるものである。これは先に述べた「一切ノ妄想ヲ除去スベシ」の注意の如く、此れらの除去に初歩の内はまず務むべきである。
次に、眼を半眼にして石を見つめて居る為に、石の周囲に赤、紫黄とか、種々な色彩が、現われたり消えたりする事もあり、又石の周囲を光体が飛びまわったりするとかの錯覚に捕われる事もある。又これに加えてこの色彩のものが、雲のような形に見えたり、人の顔とか、他の物体とか姿などに見えりたりする。石の周辺が明るくなったり或は暗くなったりもする。此の状態に前に述べた雑念などが加わると、更にとんでもない妄想などを惹起する。此れ等は大体に於いて、視覚神経の作用による処が多い為に起る現象である。此の如く人により諸現象が異るが、大よそ右の様な状態になる者が多いのではないかと思う。此れら諸現象も、鎮魂の境地の進歩熟達するに連れて、漸次減少して行き、遂には此の様な如き状態は全く感覚しない様になるものである。