偖、翁の鎮魂に就いての体験談を左に記するが、これは鎮魂の極意の一端でもある。
「鎮魂修法中、或る時、身体(全身)が徐々に拡がって行き、遂には無限に暢び拡がって、宛ら大虚の中に解け込んだ如くになった。然し精神(霊魂)は判然として鎮魂石の正面に在った。言葉では此れ丈ではあるが、是の時の状態の気分爽快なる事、とても筆舌には述べ難い」、と申された。なお言葉をついで、「此の状態とは実に反対の現象をも体得している。それは、身体が徐々に縮ってくる。其れがグツグツと云った工合に刻々縮るのだ。そして、次第次第にちぢまって、遂には全く身体が無くなって了った。そして、自分の霊魂だけが石の前に正確に留まっていた。この時の精神の爽やかさは先に、述べたと同様である」。と此の様に語られた。この稲葉翁の体験談こそ、実に“霊肉分離”の状態に於いての、貴重な、そして高度な良い実例である事と思う。』(「顕神本田霊学法典」)