メソポタミアとは、主にティグリス川とユーフラテス川の流域を指す地域名である。現在のイラクを中心とするこの地域では、農耕、灌漑、交易を支える都市が発達した。エリドゥ、ウルク、ウル、ニップル、バビロン、アッシュルなどの都市は、それぞれの歴史と神殿を持っていた。
神話を伝えた重要な言語に、シュメール語とアッカド語がある。シュメール語の系統は明らかではない。アッカド語はセム語族に属し、バビロニア語とアッシリア語という地域的な違いを持つ。ヘブライ語もセム語族に属するが、アッカド語そのものから生まれた言語ではない。
文字は、粘土板に刻む楔形文字である。楔形文字は言語名ではなく、複数の言語を書き表すために用いられた文字体系である。神話は書記の学習や書写によって伝えられ、シュメール語が日常語として使われなくなった後にも、その文学は読み継がれた。
概ね古いシュメール語の伝承と、後のアッカド語文学の継承関係をたどれるが、例外として両言語の資料が同時代に存在することもある。「シュメールの時代が終わり、すべてがバビロニアへ交代した」という一本線では捉えられない。都市の守護神も、その都市だけで崇拝されたわけではない。神々と物語は、言語と都市の境界を越えて受け継がれたのである。
出典・参照:Oraccのメソポタミア神々・楔形文字資料、Oxford ETCSLのシュメール文学資料。
文・小山一夫(クンダリーニJP代表)