はじめに
「惟神霊幸へ坐せ」
この言葉は、一般に
「かんながら たまちはえませ」
と読まれています。
神道に関心のある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、この言葉の意味を深く考えてみると、単なる唱え言葉や祈りの言葉にとどまらない、非常に奥深い内容が含まれているように思います。
私は長年、本田霊学を学び、鎮魂・帰神・幽斎の世界に触れてきました。
その立場から見ると、「惟神霊幸へ坐せ」とは、単に神に幸いを願う言葉ではありません。
それは、神の霊を受け、自らの霊魂を鎮め、神のまにまに生きることを誓う言葉です。
さらに言えば、この言葉には、二つの「うけひ」が込められているように思います。
一つは、受霊としてのうけひ。
神の霊を受けることです。
もう一つは、誓約としてのうけひ。
神に対して、自らの覚悟を申し上げることです。
この二つの意味が重なったところに、「惟神霊幸へ坐せ」の本当の深さがあるのではないか。
私はそのように考えています。
本書では、この言葉を、本田霊学、古事記の「うけひ」、そして神人合一の実践という視点から読み解いてみたいと思います。
もちろん、ここに記す内容は、私自身の学びと体験に基づく解釈です。
歴史的な起源については、断定できない部分もあります。
そのため、学術的な決定論としてではなく、一つの霊学的考察としてお読みいただければ幸いです。