一般財団法人 野萩青少年育成財団

大祓詞の比較解釈と本田霊学

先行公開・2026年10月11日

第4回 第一章 大祓詞を読み比べる立場(3/3)

本書で神社神道の解釈との違いというとき、それは、元原稿が取り上げた神社神道系の解説に対する具体的な比較を意味する。三書を一つの統一見解として扱わず、出口王仁三郎の解説は独自の比較対象として区別する。また、神社神道の内部にも、元原稿末尾に引かれる今泉定助のように、祓いと神人合一を強く結びつけた説明がある。その事実を含めて比較する方が、われわれの立場の特徴を正確に示すことができる。

三 語釈の相違から祓いの成立条件へ

第三章では、各段の詞章を掲げ、訳文と字解を読み、佐藤先生の解説と筆者の考察を追う。この順序は、読者が結論だけを受け取るのでなく、解釈の分かれ目を自ら見いだすために必要である。たとえば、瀬織津比咩を誰と同じ神と見るかという議論と、この詞章の中でどのような祓いを行う神と見るかという議論は、同じ問いではない。前者の答えが確定しなくとも、後者は詞章と佐藤先生の解説に即して検討することができる。

また、神話を人間の物語として語ることと、それを神理の表現として読むことも、区別しなければならない。本田霊学が重視するのは、形の背後にある生成化育の働きである。神の働きを人に分かる言葉で述べることはできるが、その言葉によって描かれた人間的な情景を、神のあり方そのものとして固定してはならない。元原稿に繰り返し現れる「神は人ではない」という主張は、この読解の原則を示している。

本書の比較は、最終的に、祓いの成立条件へ向かう。神の霊力を受ける側の浄心、真心、一霊四魂の働き、鎮魂力を、詞章の解釈から切り離してよいのか。神々の働きを知ることと、その働きに参与できる人となることは、どのようにつながるのか。十二段の読解を通じて、この問いを一貫して追うことにする。

先行公開一覧に戻る