一般財団法人 野萩青少年育成財団

大祓詞の比較解釈と本田霊学

先行公開・2026年10月11日

第5回 第二章 本田霊学による大祓詞理解の前提(1/3)

第二章 本田霊学による大祓詞理解の前提

一 造化の神と霊 力 体

本田霊学では、神を論じる際、天地自然と生きものの営みを離れない。宇宙の形体、万有の運化、活物の心性を通して、霊・力・体を考える。したがって、神名は、単に神話の登場人物を識別する名前ではない。万物の生成化育を成り立たせる働きと、その働きの分掌を示すものとして読まれる。

第三章第一段に掲げる佐藤先生の解説では、天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神の関係から、神漏岐・神漏美が説明される。『道之大原』では高皇産霊神を神光、神皇産霊神を神温とする。この対応を通じ、神々の関係は、単なる親族関係や男女の関係に還元されず、造化の作用として捉え直される。〔『本田親徳全集』41頁/『本田親徳研究』177–179頁〕

ここで霊・力・体は、現代科学の用語とそのまま同じものではない。本田翁が用いる「元素」「光」「温」「中心力」等には、当時の自然認識と神理解釈が重なっている。本書でも、この神観を説明するために用いるのであり、霊学の五十霊を今日の元素表や素粒子の分類に直接対応させるものではない。大事なのは、見えない働きと、現実に現れる作用とを切り離さないという思想の骨格である。

二 神理を形象によって語ること

大祓詞には、神々の集い、議り、宮居、天降り、磐門、川、海、根国底国が現れる。それらを逐一、地上の人間の会議、建物、移動と同じものとして読むならば、神の世界も人間社会を拡大したものになってしまう。佐藤先生は、それを「設神理」として説明する。目には見えない神の働きを、人間が理解できる形象に託して語るのである。

この読みでは、天の八重雲を分けることは、霊交を妨げるものが除かれることへ、高山・短山から大海原へ至る流れは、祓いの道と祓いの庭へ結びつく。形象を捨てるのではなく、その形象が何の働きを表しているかを問う。第三章で各書の訳語を詳しく残すのも、その違いが、どの言葉の読みから生じるのかを確かめるためである。〔『顕神本田霊学幽斎記録篇』332–343頁、383–384頁〕

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