はじめに
中国正史に記された、驚くべき一文
天皇には姓があった。
そう言われた時、多くの日本人は違和感を持つのではないでしょうか。
私たちは一般に、天皇には姓がないと教えられてきました。天皇は日本国の最高位にある存在であり、臣下のように氏姓を持つものではない。そのように理解してきた人が多いと思います。
たしかに、日本の歴史の中では、姓は天皇が臣下に与えるものでした。その意味で、天皇自身が姓を持つという考え方は、きわめて不自然に見えます。
ところが、中国の正史である『隋書』倭国伝には、驚くべき記述があります。
倭王姓阿毎氏
倭王の姓は阿毎氏である。
これは非常に大きな問題です。
なぜなら、この記述が正しいとすれば、中国側は、当時の倭王に「姓」があると認識していたことになります。しかも、その姓を「阿毎」と記録していたのです。
では、この「阿毎」とは何を意味するのでしょうか。
本当に、天皇には姓があったのでしょうか。
もしあったとすれば、それは通常の氏姓制度における姓だったのでしょうか。それとも、天皇の神話的・霊的ルーツを示す、特別な名だったのでしょうか。