一般財団法人 野萩青少年育成財団

蒼海窓閑話 巻之上

先行公開・2026年10月11日

第4回 第4回 第4条

原文

神ノ守護ハ靈魂ヲ守護スルナリ。靈魂ヲ守護スレハ萬時ニ就テヨロシキナリ。

風波等ノ難ニ逢テモ人事ノ盡シ、不得已時ニ坦然就死、只靈魂ノ神明ノ許ニ至ラン事ヲ望ム可シ。不然ハ既ニ身ヲ亡ヒテ、又靈魂ヲ亡フニ至ル可シ。平素ノ時既ニ此心得アル可シ。先言ハゞ朝起ル時モ神界ニ行ト思出、夕寢ル時モ神界ニ行ト思出ヘシ。平常ノ覺悟決定自然ト道義慈愛ノ心生シ、天寵アル可ナリ。

現代語訳

神が守護するのは霊魂である。霊魂が守護されれば、あらゆる事柄においてよいのである。

風波などの災難に遭っても、人として尽くせることを尽くし、どうにもならない時には落ち着いて死に臨み、ただ霊魂が神明のもとに至ることを望むべきである。そうでなければ、すでに身体を失ったうえに、霊魂まで失うことになる。平穏な時から、この心得を持つべきである。まず、朝起きる時にも神界へ行くことを思い起こし、夕べに寝る時にも思い起こすがよい。日頃の覚悟が定まれば、自然に道義と慈愛の心が生まれ、天の恵みを受けるであろう。

解説

副島翁は「葉隠」の生まれた肥前国佐賀鍋島藩の出身である。

「葉隠」にある「毎朝毎夕、改めては死々、常住死身に成て居る時は、武道に自由を得、一生落度なく、家職を仕課すべき也」を、皇法に沿ってさらに深めたものと解する。

「朝起ル時モ神界ニ行ト思出、夕寢ル時モ神界ニ行ト思出ヘシ。平常ノ覺悟決定自然ト道義慈愛ノ心生シ、天寵アル可ナリ。」だが、筆者はこれを読んだ時に、本田翁の「神伝秘書」にある「此鎮魂ノ法ハ天授ノ神法ニシテ現世神界ノ学則ナレバ、上ハ天皇ノ治国平天下ノ御事ヨリシテ、下ハ人民修身斎家ノ基本、続テ無形ノ神界フ探知スルノ基礎ナレバ、宜敷朝夕之ヲ懐中二秘シ、事業ノ閑暇ハ謹テ是フ省ミ之ヲ行ヒ、霊魂ノ運転活動ヲ学習スペシ。」を思い出した。

渡辺勝義氏は「朝夕之ヲ懐中二秘シ」を誤解し、鎮魂石を毎日首から下げて生活していたそうだ。そのため鎮斎されていた御神霊が神上がってしまったが、もし彼が副島翁の「「蒼海窓閑話」を読んでいたら、そのような事はなかったかもしれない。

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