原文
伊弉諾伊弉册ハ二體一神ナリ。諾トハ地氣ナリ。册トハ地身ナリ。
天國ハ御心ヨリナリシ者ナリ。固ヨリ他ノ國土ノ鹽ヲ以テ固メシ者卜大ニ異ナルナリ。
神産靈高産靈ハ男女トモ陰陽トモ名狀スヘカラサルノ神ニシテ、一闔シ玉フ時ハ各種ノ元素各ニ相合セス、以テ神氣往來ノ路ヲナス。一闢シ玉フ時ハ幾元素抱合シテ、以テ物體ヲナス。夫唯體ヲ爲ス者ハ、一分子ノ小卜雖モ猶元素ノ抱合物タリ。而其分子卜分子トノ閒、乃神氣往來ノ路タルナリ。其分子ヲ抱合セシメシ時ニ當テヤ、譬ヘハヒ卜キトノ閒ニ産靈神八力ヲ引テ立チ、直ニ去リ玉フ時、ヒ卜キ卜相合シテ一分子ヲナシ、而テ八力其中心ニ留在スルナリ。幾分子ヲ抱合シ幾物質ヲ合倂セシメ玉フ、皆此術ナリ。
元素五十ノ内、鍊リテ現出セシ者二十五、之ヲ現元素卜云フナリ。未鍊者二十五、之ヲ幽ノ元素卜云フナリ。彼五十音ナル者、則此名目ナリ。
現代語訳
伊弉諾と伊弉册は、二つの身体を持つ一つの神である。「諾」は大地の気、「册」は大地の身体を意味する。
天の国は神の心から成ったものである。他の国土が塩によって固められたのとは、もとより大いに異なる。
神産霊と高産霊は、男女とも陰陽とも言い表せない神である。閉じるときには、各種の元素が互いに結び付かず、神気の通り道ができる。開くときには、いくつもの元素が結合して物体となる。形をなすものは、どんなに小さな一分子でも、元素の結合体である。そして分子と分子の間が神気の通り道となる。分子を結合させるときには、たとえば「ヒ」と「キ」の間に産霊神が八つの力を引き寄せて立ち、すぐに去る。すると「ヒ」と「キ」が結び付いて一分子となり、八つの力がその中心に残る。多くの分子を結び付け、多くの物質を合わせるのも、すべてこの働きによる。
五十の元素のうち、練り上げられて現れた二十五を「現の元素」といい、まだ練り上げられていない二十五を「幽の元素」という。五十音は、その名に当たる。