2024-08-31 著者:小山一夫
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「朝だ。しずかな海に、みずみずしい太陽の光が金色にきらめきわたった。」
かつて若者に絶大な影響を与えた「かもめのジョナサン」(リチャード・バック著、新潮社)は、ここから始まります。
世界で4千万部以上を売上げた小説ですが、この夏、「40年ぶりに封印を解かれた」第4章を加筆した完成版が刊行されました。五木寛之氏の創訳(翻訳ではないとのことです)なので、できれば英語の勉強も兼ねて原文で読まれることをお勧めします。
ベトナム戦争が激しさを増し、その厭戦感の高まりとともに、反戦運動が盛んになった1970年、前年のウッドストック・フェスティバルゃ映画「イジーライダー」のヒットに続く様に、この「かもめのジョナサン」が世に出ました。若者が死を強く意識するような社会情勢の中で、やや現実逃避の感も否めませんが、38週にわたりニューヨークタイムズのベストセラーランキングで1位を続けました。
高校生だった私は、この本とヘッセの「シッダールタ」にかなり影響を受けました。ある意味、この2書が今に続く旅のスタートだったような気がします。それだけに第4章が追加された完成版への期待は大きかったのですが、読後の感想は、とても残念なものでした。かつて作者が決断したように、第3章で終わっていた方が良かったような気がしました。
話の流れとしては、当然と言えば当然ですが、人類の歴史をみればすぐわかる話で、わざわざ付け加える必要があったのか疑問です。クリシュナムルティがなぜ自らの教団を解散したのか、それにも通ずる話です。