一般財団法人 野萩青少年育成財団
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禅の十牛図 考-34

2024-11-15 著者:小山一夫

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禅の十牛図について技術的な側面から解説します。
(「悟りに至る十牛図瞑想法」より)
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チベット仏教と牧象図
先にチベット牧象図として、チベット国内のシャル寺版、クンブム寺版、セラ寺版、ダルギエ寺版、テンラカン堂版の5種類を例示したが、インド・ラダックの牧象図も現地のチベット密教(ラマ教)寺院に保存されている。チベットやインドではこのように各地の密教寺院で牧象図を見ることができるが、他国では、ストックホルム民俗学博物館やギメ美術館にも収蔵されている。


チベット密教といえばご存知のように、日本仏教とはかけ離れた異質な雰囲気を持っているし、特に質素を信条とする禅とは対極に思える。だから禅の牧牛図に類似したものがチベットに、しかも密教寺院にあると言われると、誰しも違和感を持つはずだ。だが、チベット仏教史を紐解くと、いくつか興味深い事実に気づく。


周知のとおり、現在チベットは無上瑜伽タントラ思想を主とする後期密教が盛んだが、かつては禅宗が密教を凌駕し、チベット全土で流行していた時期があった。


チベットと中国仏教の接点は唐代に遡る。仏教を学ぶため中国へ派遣された使節団は、金剛経をはじめとする多くの大乗仏典を持ち帰ったが、その帰路成都で浄衆寺に無相金禅師を訪ねた。敦煌文書のひとつ歴代法宝記によれば、無相は神会の系統とされる。従ってこの神会・無相の禅思想が、摩訶衍に先立ってチベットに伝えられたわけだ。神会と初期禅宗の概要については、「神会 敦煌文献と初期の禅宗史」(臨川書店刊)を参照されるといいだろう。


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