2025-07-05 著者:小山一夫
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禅の十牛図について技術的な側面から解説します。
(「悟りに至る十牛図瞑想法」より)
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第3章 第十図 入鄽垂手
序
柴門独掩、千聖不知
埋自己之風光、負前賢之途轍
提瓢入市、策杖還家
酒肆魚行、化令成仏
柴門(さいもん)独(ひと)り掩(おお)うて、千(せん)聖(しょう)も知らず
自己之風光を埋(うず)めて、前賢(ぜんけん)之途(と)轍(てつ)に負(そむ)く
瓢(ひさご)を提(さ)げて市(いち)に入り、杖(つえ)を策(つ)いて家に還(かえ)る
酒(しゅ)肆(し)魚行、化(け)して成仏せしむ
頌
露胸跣足入鄽來
抹土塗灰笑満顋
不用神仙真秘訣
直教枯木放花開
胸を露(あら)わし足を跣(はだし)にして*(てん)に入り来る
土を抹(まつ)し灰を塗って笑い顋(あざと)に満つ
神仙真秘の訣(けつ)を用いず
直に枯木をして花を放って開かしむ
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普明版の牧牛図
中国と朝鮮半島で最も広く採用されてきたのがこの普明禅師の牧牛図だ。図は全十図からなり、悟りの境地に到る話の筋道も概ね納得できる。牛の色の変化を受け継いでいる点からは、先立つ清居版と同じような流れにあると言っていいだろう。序を書いた雲庵が、雲庵禅師(1025-1102)と同一人物なら、恐らく廓庵版以前になるだろう。
まず題だが、「未牧、初調、受制、廻首(かいしゅ)、馴(じゅん)伏(ぼく)、無礙(むげ)、任運、相忘(そうぼう)、独照、隻泯(せきびん)」の順で、隻泯つまり円相を以って幕を閉じる。この第一図未牧で既に牧童は牛を見つけており、廓庵版でいうと見牛、得牛、牧牛のところを5枚の図を使って詳細に説明している。この流れは、実際の修行の階梯から見ても妥当だと思う。さて牛の色の変化だが、一図から順に、全身が黒、鼻のみ白、首まで白、胸まで白、半身が白、後足まで白、尾だけが黒、全身が白となる。もし黒色が垢染だと仮定すると、ウパニシャッド等の組立てとかなり似ていると言えよう。