一般財団法人 野萩青少年育成財団
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禅の十牛図 考-265

2025-07-04 著者:小山一夫

原文保存・内容校閲前/画像は元サイトから読み込みます。

禅の十牛図について技術的な側面から解説します。
(「悟りに至る十牛図瞑想法」より)
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第3章 第十図 入鄽垂手


序
柴門独掩、千聖不知
埋自己之風光、負前賢之途轍
提瓢入市、策杖還家
酒肆魚行、化令成仏

柴門(さいもん)独(ひと)り掩(おお)うて、千(せん)聖(しょう)も知らず
自己之風光を埋(うず)めて、前賢(ぜんけん)之途(と)轍(てつ)に負(そむ)く
瓢(ひさご)を提(さ)げて市(いち)に入り、杖(つえ)を策(つ)いて家に還(かえ)る
酒(しゅ)肆(し)魚行、化(け)して成仏せしむ

頌
露胸跣足入鄽來
抹土塗灰笑満顋
不用神仙真秘訣
直教枯木放花開

胸を露(あら)わし足を跣(はだし)にして*(てん)に入り来る
土を抹(まつ)し灰を塗って笑い顋(あざと)に満つ
神仙真秘の訣(けつ)を用いず
直に枯木をして花を放って開かしむ

 

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胸を露わし足を跣にして鄽に入り来る
土を抹(まつ)し灰を塗って笑い顋(あざと)に満つ
神仙真秘の訣(けつ)を用いず
直(た)だ枯木をして花を放って開かしむ

露わしとは、あらわにすること。跣とは、裸足のこと。抹とは、「手+末」、こすって見えなくすること、塗って見えなくすること。訣とは、技術などの一番大事な所、秘伝のこと。「枯木をして花を放って開かしむ」は、碧巌録第二則の頌にも「枯木再生花、達磨遊東土(枯木再び花を生じ、達磨東土に遊ぶ)」とある。

胸を露わにし、裸足で街に入ってきた。土埃に塗れ、うす汚れながら、満面に笑みを浮かべている。神仙の秘伝など用いずとも、枯れ木に花を咲かせる。

生き馬の目を抜くような現実社会にいながら、究極的な悟りの境涯に坐し、”犀の角”の如く孤高を持して超然としている。あたかもクリシュナムルティのように、天命に生きながらも、自由を謳歌しつつ、何にも縛られない。そんな生き方ができれば、本当に最高だと思う。禅の十牛図は悟りへの階梯を説いたものだが、それは同時に天命を自覚するための案内書でもあるのだ。

 


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