2025-09-15 著者:小山一夫
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ヨーガについて歴史的な側面から解説します。
(「ヨーガの極意」より)
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ところで岸本秀夫博士の「宗教的神秘主義」によれば
「ヨーガという言葉自身が、かかる行法を示す意味で、文献上に見え始めたのは、そう古いことではない。ヴェーダには、その意味での用法が全くない。古ウパニシャッドの中にも、一ヶ所を除いて、殆ど、それが出てこない。これは、著しい事実である。」(P81)
「リグ・ヴェーダの終期頃から、タパス(tapas)という言葉が散見する。本来は熱という意味の言葉である。それが転化して、肉体的苦行に耐える行法を指すこととなった。苦行の総称と見てよい。それには、さまざまな超自然的な性質が附加されて、呪術的な性格を帯びている場合も多い。諸家の見解は大体一致して、ヨーガ的行法の前身を、ここに認めている。」(P82)
この古ウパニシャッドの中における唯一の用例とは、前述のターイティリーヤ・ウパニシャッドの記述ですが、そこでは具体的な説明はありません。
「信念はその頸なり。正義は、右腕なり。真実は左腕なり。ヨーガは、軀幹なり。強大は、その座なり。」(P83)
これが文献上ヨーガという語が始めて確認できる最古の記述です。
ところでこのタパスですが、これがヨーガ的行法の前身ということになりますと、ヨーガのアイデンティティを考える上でとても重要な意味を持ちます。
つまりヨーガ的行法は、熱エネルギーの制御から始まったと推測してもよいのではないか、という仮説が導き出されるのです。
もしその仮定通りならば、ヨーガのルーツはフィトネスやストレッチのような単なる体操レベルのものではなく、エネルギーコントロールそのものがヨーガの本質であり、その目的を達成する為に2000年以上かけて多くの技法が編み出されたと考えられます。そして後に、根源的なエネルギーを意味するクンダリーニやチャクラの理論が、ヨーガの主要テーマとなるのも頷けます。
この様にヨーガの起源について考える方が、インダス文明の発掘で発見された印章が瞑想するシヴァ神で、そのシヴァ神への信仰がヨーガのルーツに深い関係がある、と解釈するよりも、ずっと手応えがあると思います。
その様な理由もあって、私は例の印章にこだわる気にはなれないのです。