2026-03-03 著者:小山一夫
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昔書いた日記からいくつかアップします。
2002-12-2
高地トレーニングの弊害-2
バルセロナオリンピックの女子マラソンで期待されていた小鴨由水選手が不本意な成績で終わったのは不慣れな高地トレーニングに適応する事が出来ず、それが原因で体調を崩したのが原因だという意見が少なくない。彼女は高地トレーニングの効果を維持すべく、勤務先の減圧室(高地と同じ気圧に調整)に毎日数時間入ってランニングのトレーニングをしたという。24時間を生活するならいざ知らず、毎日入ったり出たりを繰り返す事がどれほどの肉体的負担になったことか。トレーニング方法自体も科学的に確立されていない現在、このような試行錯誤を繰り返す事が選手にとって賢明な事だとは思えない。
高地の特徴は気圧と気温の低さ、酸素の希薄さそして空気の低湿度(乾燥)だ。
標高で1000メートル上がると、空気の濃度は10%低下し、気温も6.5度低くなる。つまり先の高橋選手の例でいえば、標高3600メートルの場合、空気の濃度は36%低下し、気温は23度低下する。生体に対する影響としては、まず呼吸が苦しくなり、少しでも多く酸素を得ようとして心拍数が上昇し心臓への負担が急増するとともに、少ない酸素を効率よく体内に行き渡らせようとヘモグロビンが増加する。
だが最近の研究によれば、数日でヘモグロビンが増加したように見えるのは、実際には空気が乾燥している環境での呼吸によって血液中の水分量が減少したために、濃度が濃くなったに過ぎず、絶対量が増加したわけでは無いそうだ。赤血球が実際に増加する為には数ヶ月を要するので、短期間の高地トレーニングではヘモグロビンの絶対量は大して増えない訳だ。その為、血液ドーピングという技術が開発された訳だが、これも人体の機能として赤血球の血中濃度を自動的に適正化するらしいので、期待するほどの効果は無いという。いずれにしても気圧が36%も低い環境は我々の日常からいえば異常な世界であり、生体に強度のストレスを与える事は間違いない。
<参考>
大気圧が低い所では,肺胞内酸素分圧が低下する.そのため呼吸が促進し,CO2が排出される。動脈血CO2分圧が低下するため呼吸中枢の興奮性が低下し,呼吸促進は不十分となり,酸素の供給は悪化する。さらに運動が加われば,呼吸性アルカローシスの状態となる。血液は栄養素の中間代謝物(乳酸など)によって酸性に傾きやすいが,血液のpHは7.30~7.50に保たれている。血液のpHが生理的範囲を越えて低くなった病態をアシドーシス(acidosis),逆に高くなった病態をアルカローシス(alkalosis)という。呼吸性アルカローシスの症状とは、血清Ca値が低下し、四肢、口周囲のしびれ感、テタニー型全身性筋硬直などの知覚異常を認め、また意識障害、失神、痙攣が起こることもある。これらの症状がさらに不安、恐怖感を増強させ過喚気を促進させる。