一般財団法人 野萩青少年育成財団

気功はガンを治せるのか?

先行公開・2026年10月11日

第5回 第1章 気功とは何だったのか 古代の養生から現代気功へ (1)1 「気功」という名称から古代を見ない(3/3)

したがって、古代の「気血を巡らせる」という説明をそのまま科学的事実として採用する必要はない一方、身体活動によって全身状態を変化させようとする経験的発想まで否定する必要もない。重要なのは、歴史的経験と現代的な有効性の証明を分けることである。古いから正しいのでもなく、古いから無価値なのでもない。

5 『素問・上古天真論』―病気になる前に整える

『黄帝内経』の「上古天真論」は、中国医学が病気になった後の治療だけでなく、病気になりにくい状態をどのように保つかを重要な課題としていたことを示している。「恬惔虚無、真気従之、精神内守、病安従来」という言葉は、精神の過度な動揺を避け、真気が本来の働きに従い、精神が内に守られていれば、病はどこから来るのかという趣旨である。また「呼吸精気、独立守神、肌肉若一」とも記され、呼吸、精神、身体を一体として整える発想が認められる。

ここで「真気」を自律神経、「精気」を酸素といった具合に単純翻訳するべきではない。成立した身体観が異なるからである。それでも、病変だけを対象にするのではなく、病気になりにくい心身状態を作ること自体を医学の重要な一部と考えていたことは確認できる。この思想が、後世の養生、導引、静坐、調息へとつながっていく。

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