次に成功
成功とは、出世と違ひます。
が成功するには、矢張り三年、十年の鍛練が必要です。
会社を経営したり 社長さんになったり、自動車を持ったり、皆物豊かに暮します。成功するにも三年十年、仕事の運営に夜目も合はぬ心配をし、金くりに追はれて、漸く成功です。
得たものは 出世と云ふ場合は特技と名誉ですが 成功では富です。
それで豊かな生活が出来ます。欲しいものはお金で右から左に買へるし、綺麗な着物は着られるし、月末の心配なしにキャバレーで安心して女の手も握られるし、いいですね、ほんとに。
でも何時までも心配なしに暮せますか、有為転変の社会の真中で、どの程度こ地盤が出来ているのでせうか、競争相手は居ないんですか、心配な取引相手はありませんか、経営体系は完全か、等考へたら、不安不安の連続の中で、美しく、綺麗で 裕かに それができればそれでいいではないかと云はれればそれまでですけれど。
五島慶太と云ふ方が居られました。
東急の経営や白木屋の経営で有名な 大きな事業をなさった方です。でも、彼の方は、強盗慶太と人々に呼ばれました。本当に事業の真髄を掴んでの成功者なのです。この世の中に あの人以上に悪るい人が多いんです。あの人は事業の方則を完全に推行した人であって、何も悪事はして居られません。それだのに あの様に呼ばれました。あの人に依存して生活して居た人は、会社関係だけでも幾千人に居ったでせふ。
