寒い朝寝床から出られない。亀の子の様に頭だけ出してタバコを思ひ出した。二十一の頃だったろふか、マルクス理論に凝って、家を追ひ出された頃十日程仲間になったことがある。
味気ない起床 食事そして仕事に賑やかに元気に出て行く、眼がさめると怒鳴り合ひ、カラカヒ合ひ、罵しり合って、ワイワイ騒ぎ乍ら。それは、其処に一つの活気ある「ふんい気」を作り出し、その四囲の気分から、自然的に自分の気持ちも湧きたって 仕事に励みたったものであったな と今、気が付く。
皆が俺たちはみんな同じ仲間だと云ふ親近感平易感があの様な素野な賑やかさを作り出し その中に生き、お互ひの「貧しさ、今日も働かねばならぬ」
悲しみを 励まし合っていたのである。一つの生活手段でもあったのである。
