大概その娘のお母様もいっしょに来るが、見合ひに行ったら、その男の方の顔は充分見られなくとも、その手首くらひは見られましょう、大きい手、太い腕をしてゐるか見なさい。それから、食べもの、何がお好きですか、何がお嫌ひなんですかと聞きなさい。太い腕、大きい手なら、男らしい、上等。「何でも食べます」「僕はポストと云う諱名なんです」と言う男なら、まあ百奌だね。
食べ物に好き、きらひのある奴は、大概わがままだ、境遇と、物事への調和性と、相手を受け入れる雅量がないと見てよい。備食する男性は、特にそれが甚しい。大体、偏食や、三度の食事に好ききらひを言ふのは、わがままに躾けられてゐたと思へば間違ひない。甘いお母様に躾けられると、第一に食物にわがままを言ひ通す、その習慣が第二の天性、偏屈な性分にもして終って居るのである。
何人でも美味いと思うんです。と云ふ、食物に驕らぬ男なら、つつましやかな家庭で、嚴しい家風の躾を身に付けて居ると思ってよい。此の様な男は、躯も、考へ方も壮健であり、どんな仕事にも、環境にも調和、順應して、自分の才能を發揮するし、成功する。
まあ、これだけ考へて、あとは、その人を可愛いいと思ったか、躯が小さいから可愛いんじやない、相撲取りのデカイ奴を可愛い可愛いと熱を上げる娘もある、
好いた人を思ったか、尊敬したい人と思ったなら、それで良いじやないか、地位や、金などは論じなくともいいじやないか。
