或る日、新橋の芸者屋に陸軍大尉がツカツカと這入って来て、
「変なお願ひでありますが、朋輩の中尉の奴が、”飛行機事故で、今、病院で兩腕を切らねばならんのです、朴念仁でまだ一度も女の手を握った事がない、本当に御迷惑とは思ひますが、一緒に行って下さって手を握らせて下さいませんか、お願ひします」
それから一年経った。九段の靖国神社に参拝して居る二人がある、老人の將校とっり合ひのとれぬ若い芸者と。社頭の拜を済ませると、老中將は芸者に丁寧に挨拶して別れた。芸者は、呼び止めた友達に言った。「あの方は、あの人のお父様です。あの人は死んだんです。一度手を握って貰っただけ、・・・・・せめて、子供を生みたかった!!」これが女としての叫びなのだ、女としての強さなのである。
貴女達に此だけの度胸があるか、覚悟が出来てゐるのか?今までの結婚の考へ方全部が、打算から出發してゐなかったか。だから、男の良さも理解出来ない。人生の「めぐり合ひ」にも感謝出来ない。そんな気持ちでは結婚される方が迷惑するよ!!
眞珠の様な尊い男も、此の泥の世の中にころがって居るのだ、探して掴みなさい。俺も疲れた!!
