人形町、カキガラ町の俺の生活は騒音の眞中、今は兩国でも矢張りウルサイ、お客様が来ないと、今か今かと待つ、混んで来ると、又来た!!で疲れる。
客が次き次ぎと来て待つ、あせる。もっと良く説明して、もう少し確信をもたせてやり度い。でも帰さねばならない。客が多勢待つのに、悠々と煙草を出す客に神経がいらだつ、連續的緊張症にならざるを得ない。だから田舎に帰ると、しんとしてゐるから、まづ、三日間は眠る。何と、東京はウルサイ処だろ、
朝からラジオまでギャング物だ。ギヤギヤ、ワーワーと怒鳴り合ふ物語り。あゝ厭だ。いやだ。それだのに、其処の(人形町だが)大家さんの細君、曰く、「私ソビエトのピアノの先生の音楽をききに行って来たのよ、素敵だったワ」と来る。俺には判らん、朝っから、ラジオを精一パイ大きく鳴らして雑音をきいて、あのウルサイ広告の怒聲を平気できく太い神経で繊細な弦のささやきが判るのだろうか。みんなどうかして居るんだ。
