昔、百年か百五十年前に名古屋の方に水野南北と言うケッタイな人相見がゐた。今の易者連中はこれの教へを基本にしてゐるのだが、此のヂヂイ、此の様なことを云ってゐる。曰く、
「婦人とは不仁である、」と言うのだ。不仁とは「人にあらず」で「女なんて人間じやないよ」と言うことさ。余り極端だね、これに續いて、又、斯うも云ってゐる。
「男の相を見るに淫奔の気あるもの十中一、二、女を見るに、十中の十まで淫相のあらざるなし」とさ、
怒っちやいけない。百年も前に死んだ奴だ。
で、「先生はどう思う?」って、俺も本当だと思うトキもあるね。「私、何か商賣を初めたいと思ひます」「独立して夫と別れて商賣しようと思ひます。」
「何商賣と考へてるんですか、水商賣、バーか小料理屋でもと思うんだせう」
「そうなんです」これが十人とも同じ返事である。
略んどが素人娘か人妻に限る、雑作なく出来ると思ってるのだ。少しの資本で出来るからと思ってるのだろふが、その本心は「よろめき」を期待し、求めて居るのだ。
