小田切氏は「君が代」の研究の大家である。古るい文書を調べたり、記録を探したり、して居る人である。
『「君が代」は、国家ではありません。民族の歌ですよ、あの歌詞の思想、唄のリヅム、發声法は日本人獨特のものじやないんですか、戰後の今、「国家の歌」とするより、民族的な叫びの、「民族の唄」ではありませんか』と云うと、今まで国歌「君が代」と考へてゐられた小田切氏には、非常にビックリされた事を覚えてゐる。
「君が代」を国歌とし、皇室に結びつけるからいけない、同朋国民感情を端的に、そして、民族的なリヅムを持つ「唄ひもの」とせねばならぬ、と云うのが俺の持論だったのである。小田切氏は唸ってきいて居られたが、それは本当である、と賛成してくれた。
只、民族感情の盛られた「民族の唄、君が代」は少しリヅムが荘重しずぎやしないか、何処でても唄はれるやうに、もう少し明るいテンポであって欲しい。
何故なら、日本民族は楽天的で、活動的な国民性であるからである。
