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「片片草」 十三文-2

著者:若月佑孔 / 元ブログ投稿日:2025-07-01

 

「鋭利鉄を断つ」例として勝海舟の話がある。


英吉利西の將校と、日本刀とサーベルの優劣の爭ひが始まった、お互ひにその利奌を挙げてゆづらない。「よろしい、サーベルを持って来て下さい」と二三十本のサーベルを一束にして机の上に置いて、”ヤアッ”一刀の許にズンバラバラに切って終った。海舟は劍道の達人だ、何と云う刀であったか俺は知らない、それも日本刀である。


德川時代の武士や遊侠の徒の眞劍勝負のケンカ記錄を集めて讀んたことがある、所謂「果し合ひ始末書」と云う奴で小説なんかとは異う、その勝負の途中で刀が折れて負けてゐるのが多いのである。大概つば元で折れて、相手に踏み込まれて死んでゐる。折れるのは刀と刀との打ち合ひであり、又相手を切り損こなって、柱や竹に当って折れてゐるのだ。相手の躯に喰い入って折れるゐるのではない。伊賀上野で河合又五郎を打った荒木又卫門の太刀でさへ、相手のはじき返した衝動で折れてゐるではないか。


日本刀とは切れるもの、強いものとの先入感念はありはせぬか、日本刀には名刀もあり、十文、十三文の駄物もある。
日本刀は、世界に誇れるものではある、然全部ではない、只の一部である、然し、日本刀と云うと、矢張り気分的に尊重する気分になる。それはそれで良い、然し、十文、十三文のあることを知っておかねばならぬが、十文、十三文のあることを以て、日本刀を批判してはいけないのである。
 

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