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「片片草」 生活の健康診断-5

著者:若月佑孔 / 元ブログ投稿日:2025-07-17

 

昔、江戸本所に住んでゐた何とか云うお医者様は貧しい家に招かれて行くと、「ホレ、此処に薬を置いたよ」と枕の下にお金を紙に包んでつっこんで帰ったそうな。


貧乏な時、明日の子供達の食べ物をどうしやうと悩んで寝てゐる病人には本当の薬より、此の紙包の方が有難い、本当に親切なお医者様大概の愚痴は貧乏から由来するものだが、逆にいうと、その愚痴グチ、陰気さが、貧乏を「招待」して終ってるのではないか、貧乏で苦心したのは二宮尊徳さん、此の尊徳翁の言葉に、「貧乏とは妻子、親子、別るることなり」と云ってあります、あれ程貧しかった翁が、貧乏め苦とは、金の有る無しでは無いよ、親子、兄弟が別れ別れに暮さねばならない淋しさなのさと云ってゐるのである、貧しくとも、夫婦笑ひ合ひ、親子むつましく貧しい食膳に向かっても明るく笑ひ合ったなら、それは富んでゐるのではないか、幾億の財産を持って居たって、夫婦がにらみ合って、父と子が意見が合はなくて、大きな家の中で別々に言葉もかけ合はなかったら、「妻子親子別れたる貧乏人」ではないか、こんなのは、愚痴爭ひの抗じた中風なのかも知れない、もう、家の中は暗くなり切って、夫婦の対立は中風の半身不隨よりひどくなる。


家風がこんなになって、十年廿年、みんなが我慢になれっこになって、自分勝手が習慣になって、父は父らしくなく、夫は夫らしくなくなり、子供は子供ではなくなった家庭はもう大風の状態なので、若月先生、何とかなりませんかと頼られても処置なしです。
 

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