最近、また、松坂屋で「タイ国文化展」を見た。タイは佛教文化国である、日本のやうに佛教は信仰するが、佛教が生活様式を規正してゐない国にくらべて、タイは佛教教理が生活政治を大きく支配して居るのである。
タイ国古代の美くしい工芸品も残ってゐるし、その文化を作った人々の子孫も、その昔の文化を保持して来て居る、
外来の文化、文明によって固有のものを失はされて居ないのである。固有の文化を保持して来てゐると云う事は誘ってよい事ではないか、古るい文化の基礎である思想を宗教を保持し傳承して居ることこそ、現在その文化を生活の基本にして居ることこそ、民族の生きて居る「證據」なのである。パキスタンの古代文化は現在パキスタン人の文化ではなく、誇る程のものではない。インカの遺跡は、完全なインカ民族の滅亡とも云へる。生き残って居る子孫達は最早や血族的には子孫でも、文化的には他人でしかない。
タイ国は、祖先の文化が今、生きてゐる。獨自のタイ国人としての文化、芸術そして、タイ国人の根情が生き継れて居ること、そのタイ国人の根情たる宗教、芸術的作品が、昔のままの根情で昔のままの生活觀念で受け継がれてゐることに驚きを感ずる。その根源は「民族性」の強さである。その民族性を守らせて来た僧侶達の強さである。
此処に印度の乞食思想と一連のものが有る、これが第三国家の基本なのである。
