俺の田舎に、孔平と云う奴が居た、大学を出た事が鼻にぶらさがって、オテンテンまで妙になってる。だから、俺が天狗孔平って名を付けてやった。
町会議員の選挙があってね。町中が大騒ぎになった。俺も俺も俺もで多勢立保補、兎に角戸數一万にたらぬ町だ、十二三票もは込れば当選御禮になる。天狗孔平俺にも頼みに来たね。運動員の數も二十人以上居たね。さて、開票孔平の票數は三票、本人一票、女房一票、ババア一票、たった三票は有央以来のことだ、本人は青くなるし、それまで四囲に居た運動員達も妙に白らちやけた顔になって、コソコソ何時のまにか居なくなって終った。
こんなのが可愛らしい天魔、でかい天魔になると、学長さまになったり、大臣の中にも居て、俺が俺が、自分の云ひ分は、理が非でも押し通す。通らなければ俺の面子をどうしてくれる。
又、ゼニコも地位も欲しくほしくて堪らなぬくせに、武士は食はねど高楊子と構えて、自分のところにオハチが廻って来ないと、ヤキモチしていろんな手段を構える。こんな奴も居るだろ、それから、宗教家も天魔になってる奴が多い。
